冬は必ず春となる|日蓮聖人【御遺文】

日蓮聖人のお言葉

日蓮宗の開祖である日蓮聖人が遺したお言葉(御遺文)は、心豊かに生きる知恵が詰まっています。

今回ご紹介するのは、『四条金吾殿女房御返事』の一節です。

 

御遺文 原文

法華経を信ずる人は冬のごとし。冬は必ず春となる。いまだ昔よりきかず、みず、冬の秋とかえれる事を。いまだきかず、法華経を信ずる人の凡夫ぼんぶとなる事を。経文には、「もし法を聞くことあらん者は、 ひとりとして成仏せずということ無し」と、とかれて候う。

・御遺文名『四条金吾殿女房御返事』
・文永12年(1275年)
・日蓮聖人 54歳

 

御遺文 現代語訳

法華経を信じる人はあたかも冬のようなものである。それは冬はどんなに長くとも必ず春を迎えるからである。決して冬から秋に戻ったためしなどない。

それと同様にいまだかつて聞いたことがないのは、法華経を信ずる人が凡夫のままでいるということである。

法華経『方便品』には「もし、法華経を聞くならば、1人として成仏しないことはない」と説かれているのである。

※凡夫・・・普通の平凡な人。煩悩にとらわれて迷いから抜け出られない人。

 

御遺文 解説

日蓮聖人は、冬は必ず春となるように、法華経を信仰する人は必ず難(冬)に逢うけれども、必ず成仏(春)するとおっしゃっています。

それは法華経が方便の教えでなく真実の教えだからこそ、真実の功徳が得られるのです。

悩みや苦しみが大きければ大きいほど光り輝くお経が法華経です。

この御遺文を読みますと「法華経を信じて歩めば、今は苦しくとも必ず光が差してきますよ。」と何か背中を押されているような気にもなります。

一方で、厳しい冬の時代を耐えて、自分の思いが叶ったり、すべてが良い方へ向くような春がきても、決して油断していけないということもおっしゃっています。

 

南無妙法蓮華経