日蓮宗の開祖である日蓮聖人が遺したお言葉は、心豊かに生きる知恵が詰まっています。
今回ご紹介するのは、『佐渡御勘気鈔』の一節です。
御遺文 原文
本より学文し候し事は仏教をきわめて仏になり、恩ある人をたすけんと思う。仏になる道は、必ず身命をすつるほどの事ありてこそ仏にはなり候らめと、おしはからる。
・御遺文名『佐渡御勘気鈔』
・文永8年(1271年)
・日蓮聖人 50歳
御遺文 現代語訳
そもそも仏道研鑽をしてきたのは、仏教を究めて恩を受けた人たちが仏に到達するように助けたいと思うからである。
仏になる道は、己の身命を捨てるほどの覚悟や経験があってこそ、はじめて開けてくることが分かった。
御遺文 解説
日蓮聖人の宗教の根幹は「報恩」。報恩とは、人間として生かされている恩に報いること。お釈迦さまが説いた最高の教え「法華経」に恩ある人を導き救うことです。
日蓮聖人は、それを成し遂げるために、命を捨てる覚悟が必要だったのです。日蓮聖人の大難四箇度小難数知れずのご生涯が、そのことを証明しています。
私たちも日蓮聖人にならって、どんな障害も恐れずに乗り越える覚悟を持たなくてはなりません。すると、新たな困難を乗り越える力が与えられ、真実の世界が開けるのです。
南無妙法蓮華経
【参考文献】
「1日1訓 日蓮聖人のお言葉」
著:渡辺宝陽
発行:日蓮宗新聞社
「1日1訓 日蓮聖人のお言葉」
著:渡辺宝陽
発行:日蓮宗新聞社