釈迦の心⑤ – 最良・最高のもの

圓福寺だよりコラム「仏音」
column No.018

 

前回、「南無妙法蓮華経」と唱えることによって、仏と同体になり悟ることができる、と書きました。

お釈迦さまは、法華経を説く以前のお経では、仏になる(悟る)ためには、生まれ変り死に変りを何回も繰り返 し、その間、永い修業を重ね、やっと仏になれると説いています。

 

最良・最高のもの

その時間の永さは、気の遠くなるような非常に永い時間です。仏になるためには当然のことかもしれません。

現代の私たちには、とても永い修行は耐えられません。途中であきらめて、挫折してしまうでしょう。

そこでお釈迦さまは考えて、お題目(=南無妙法蓮華経)という最良のものを私たちに与えてくれたのです。

「南無妙法蓮華経の中には、この世の最高のものばかりを合してあるから、素直に信じて唱えれば良い」と言われました。

そのことを、日蓮聖人が鎌倉時代に教えてくれたのです。

お釈迦さま(仏)は全ての人々を救い、真の幸せを得てもらいたいと常に思っているのです。お釈迦さまの得た悦びと同じものを人々に与えたいと、慈悲の心で私たちを見ているのです。

 

仏の慈悲に気付くこと

お経(自我偈)には、「毎に自から是の念をなす。何をもってか衆生をして、無上道に入り、速かに仏身を成就することを得せしめんと」説かれています。

仏の願いは私たちがどこに居ようが、何をしようが、常に仏は全ての人々を幸せにしたいと、大昔より願っているのです。

我々凡人は、なかなかそのことに気付かず、迷ったり、悩んだりを繰り返しているのが日常です。

南無妙法蓮華経を唱えれば仏と一体になれる、というお釈迦さま、日蓮聖人の言うことを素直に信じて、仏の慈悲に早く気付き、本当の幸せを皆が得るように努力しましょう。

 

平成12(2000年)年01月13日発行 第42号より