比類なき日蓮宗の修法(祈祷)の特色について①

圓福寺だよりコラム「仏音」
Column No.054

 

日蓮聖人は、若いときに真言密教の秘法を多く相伝されています。

鬼子母神法、麻利支天法、大黒天法等など。その相伝を受けたものを法華経の教えに換骨奪胎かんこつだったいし、置き換えています。

※ 換骨奪胎(かんこつだったい)・・・先人の知恵や教えを踏襲しながら、新味を加えて独自のものを作り上げること。

 

すべては五段の因縁による

日蓮宗の修法 (祈祷)には、特別に優れていることがあります。

それは、五段の因縁をもとに悩む人に何が憑いているか調べ、法華経により解決するという方法です。五段の因縁とは、死霊・生霊・コ著こちゃく(動物霊)・疫病・咒詛じゅその5つのことをいいます。

※ コ著のコは、ケモノヘンのみ→

この世には、悩み苦しむ人が大勢いますが、全てこの五段の因縁に頼られているといっても過言ではありません。

簡単にそれぞれの因縁を述べてみます。

 

死霊について

死霊・・・亡くなった人の念。

例えば「亡くなった 人に追善供養をしないと子々孫々に祟りをなす」と日蓮聖人は言われています。

年回忌・彼岸・お盆等の供養が大切です。供養を受けないでいる霊は、あの世で苦しくなり、苦しいために子孫に何かのかたちで頼るのです。

病気、人間関係、精神的なこと、子孫の弱点をついて頼ります。それは、自分の苦しさ無念さを分かって欲しいからです。

 

生霊について

生霊・・・生きている人の思い、恨み。

誰かに恨まれるような行いをすれば、相手が悔しい思い恨みの念が生まれます。

例えば、財産を取られた、事件で不幸な目にあわされたなど。そんなとき、やられた方は相手を恨んみ苦しめばいいと思います。

このような念が生霊です。日蓮宗の修法では生霊を受けると、火事になったりすることがあると言われています。

次号では、コ著(動物霊)・疫病・咒詛の説明をしていきます。

 

 

平成30(2018年)年01月01日発行 第80号より