お盆によせて

圓福寺だよりコラム「仏音」
Column No.049

 

古くから日本の夏には、「お盆」という慣習があります。

では、お盆とはどういう意味なのでしょうか。

お盆とは、倒懸(とうけん)といって、逆さまに吊されているとても苦しい状態のことをいいます。

 

苦しんでいる先祖を楽にする

お釈迦さまの弟子で神通力第一といわれた目蓮尊者(もくれんそんじゃ)というものがおりました。

目蓮尊者の亡き母がどうなっているかと神通力で見たところ、なんと母は餓鬼道に落ちて、ものを食べようにも炎になって食べられないという、非常に苦しんでいる状況であることが分かりました。

目蓮尊者は、どうしたら母を楽にできるのか、お釈迦さまに相談しました。

お釈迦さまは「餓鬼道に落ちるのは、生前罪を犯した者、自分勝手で他人に施しをしない者が落ちる処だ」と言われ、「修行を終えた僧侶に供養してもらいなさい」との教えを受けました。

そして、目蓮尊者は、お釈迦さまのお言葉通りに実行したところ、母が楽になったのが見えたといいます。

この故事により、お盆のときに各寺院で施餓鬼法要といって、日連尊者の母親のように餓鬼道に落ち苦しんでいる先祖の霊を楽にする供養の行事が行なわれるようになりました。

 

心をキレイに保つ努力をする

「自分で蒔いた種は自分で刈り取る」という宇宙の法則、決まり、仏教では因果の法則を常に我々は頭に入れて、普段の生活をしなければななりません。

自分で行った悪い行いは、後々穴埋めをしなければならない。悪い事をしっばなしで済むものではありません。

宇宙の掟、宇宙の意識というものは常に真中を保とうとする働きがあります。いわゆるバランスです。

悪いことをしたなら償いを、がんばってって良いことしたならご褒美をもらえる、陰陽のバランスです。

このような道理を大多数の人は頭では理解していると思いますが、実際の行いに移せないのです。

では、どうしたら良いか。

それは心身の浄化です。心と身体をキレイな状態に保つのです。

個人的な感情に振り回される事なく、少しづつでよいので自分の心身を常にキレイにしていく努力が大切なのです。

具体的には、

  1. いつも笑顔で心を穏やかにし、雑念・感情を捨てる。
  2. 自然のままリラックスし、良い意識・善の考えを持つ。
  3. いつも自分を見つめ、悪いところを反省する。
  4. 毎日鏡を見て自分の顔が神仏に似てくるように笑顔で努力する。
  5. 一日一回は他人の為に何か良いことをする。
  6. 自分の行いは自分で始末する。悪業を後に残さない。
  7. どんな出来事も良いほうに理解する。嫌なことも自分に与えられた修行だと思い、魂を磨いているのだと思い、逃げないで解決するよう努力する。

以上のようなことを、どんなに小さなことでも良いから実行する癖を付けることです。

実行する強い意志を養う最良の方法は、自分自身の遠い遠い過去世からの罪をお詫びし、先祖の犯した罪も自分がお詫びし、南無妙法蓮華経と唱え、その気持が仏様に届くように念じることがとても大切になります。

 

なぜ供養した方がよいのかはコチラ

参考記事

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圓福寺だよりコラム「仏音」

 

平成06(1994年)年07月12日発行 第29号より