目に見えないものに関心を

圓福寺だよりコラム「仏音」
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column No.010

 

普段、私たちは目に見えるもの、体に感じられるものには関心を示します。逆に目に見えないものには関心をあまり持ちません。

平成8年の夏は、大腸菌O-157の被害で犠牲者も出て大変な状況になりました。

前後して世界の各地でも、イギリスの狂牛病、アメリカでは小麦から黒カビ病、トウモロコシに灰色斑点病というカビの病気、数年前からブラジルで大豆にカビの病気と害虫の被害が広がっています。このため、未だ各地で経済に深刻な影響を与えています。

 

全ての生きものには意識がある

この微生物と害虫の異常発生の原因は農薬や除草剤などにあるといわれています。

農薬が微生物を殺したり傷つけたりします。DNAに傷ついた微生物は突然変異を起こし、虫は種族保存本能から農薬に対抗し百倍以上の卵を産むそうです。

全て生きものには意識があります。

微生物も生きものですから意識を持っています。人間が勝手に微生物を苛めるので生き残るため逆襲に出るのです。

 

目に見えないものの立場を考える

また山の木を人間が無計画に切るため(ゴルフ場などをつくるため)木の根に付いて共存共栄している微生物が激減し、山から川を流れ海に入っていた微生物が当然少なくなります。

それによってプランクトン、海藻類、員、魚と生態系が崩れ、漁業にも悪影響が出て問題化している地方もあります。

私たちは幸せを求めて科学技術の発達に一所懸命です。

それを否定しませんが、科学技術の発達による副作用の面にも、もっと関心を示し、できるだけ廻りの立場、目に見えないものの立場を考えるべきではないでしょうか。

巡り巡って、今私たちの回りに悪影響がひしひしと押し寄せているのです。

 

 

平成09(1997年)年01月13日発行 第34号より